フランスの作曲家モーリス・ラヴェルのオーケストラ曲の傑作《ラ・ヴァルス》は、ウィンナ・ワルツ(ウィーン風のワルツ)の賛美として作曲され、今も広く聴かれている代表作です。
スコアの前には次のような言葉が掲げられています。
「渦を巻く雲の切れ間から、ワルツを踊る男女たちがちらちらと垣間見える。雲が少しずつ散っていくと、旋回する人々であふれかえる大広間がはっきりと見えてくる。舞台はだんだん明るくなり、シャンデリアの光がフォルティッシモでまばゆいばかりに輝く。1855 年頃の、皇帝の宮廷。」(ラヴェルによるフランス語の説明からの抄訳)
この作品は、まず2台ピアノの形で1920年10月23日にウィーンでラヴェルとカゼッラ(イタリアの作曲家)の二人によって公開で演奏され、同じ年の12月12日、パリのサル・ガヴォー(ガヴォー・ホール)でコンセール・ラムルー管弦楽団によってオーケストラ初演されました。指揮はカミーユ・シュヴィヤール。
つまり今年2020年はその初演からちょうど100年目にあたります。
全音スコアはその2020年8月15日に、シリーズ初の《ラ・ヴァルス》のスコアを発売します。このスコアはオリジナル出版社のデュラン社のスコアを底本として制作してますが、演奏に使われているオーケストラ・パート譜、また比較的新しくヨーロッパで出版されたブライトコプフ・ウント・ヘルテル社の校訂されたスコアなどを資料として、照合・校閲しています。
「日本モーリス・ラヴェル友の会」がこの全音の新しいスコアを紹介して下さっています。
全音スコア ラヴェル 〈ラ・ヴァルス〉
ISBN978-4-11-892473-1