荘厳にして優美、雅やかなる古の響き
世界初、インジェクション成形による415Hzアルトリコーダー
■基準ピッチ:a=415Hz ■素材:ABS 樹脂 ■頭部管:G-1A(モダンピッチ) と共通 ■中足部管:415Hz 専用設計 ■音孔:0,2,3,5 孔アンダーカット ■付属品:オリジナル布ケース、グリス、掃除棒 |
G-1A(モダンピッチ)の開発同様、木製試作管体を樹脂成形品に順次置き換えていく作業、木製中部管試作品の採寸~製品図の作図、金型製作と進みます。
しかし、中部管の金型製作を内径、指孔同時進行で行った場合、ウルフ発生など不測の事態が起こったときの原因究明と対策が難しくなります。
そこで、まずは指孔の開いていない中部管金型を製作、成形された中部管に手加工で指孔を開口、必要箇所にアンダーカットを施した後、指孔周りの測定、作図、金型の追加加工へと移行します。
G-1Aの中部管開発では、プラスチックリコーダー初の多孔アンダーカット再現のため、目視での確認も目的に、樹脂製試作品を縦に切断し各孔をレーザー測定、作図、金型加工と進めていきました。
今回は平尾(山岡)重治先生により調律された中部管を、X線CT三次元測定機にて実寸を非破壊測定し作図を進めています。
オリジナルブレッサンの中部管外径は、両端を直線で結んだ順テーパーではありません。
これを点で測定した外寸で金型を製作した場合、内径のように数値が変わる位置でスジができます。
手磨きで消す方法もありますが、複数個取りとなる量産プラスチックリコーダーでは再現性に乏しくなります。
そこで、金型設計では各外寸を近似値で結ぶ「R」で作図します。
このR値、G-1A(モダンピッチ)でR≒6000(半径6メートル)にもなる微妙な曲線です。
全長が異なる415Hz中部管ではこの「R」も異なり、調律上は流用可能な指孔リングも管体と面一にならず共有化できません。
415Hz中部管のアンダーカットが施される指孔リングはすべて新造となります。
G-1A(モダンピッチ)は、ウインドウェイ、各管体内径とも、できる限り一体に作ることをコンセプトに開発されました。
足部管も、最低音の最終調律を行う余裕を持たせるため、ボトムリング部分2mmは別体となっていますが、中足部嵌合からほぼ単一の管体として設計されています。
管体重量が及ぼす性能への影響を無視すれば、はかま状の黒色部品は飾りです。
この部品構成は、企画当初より415Hz替え管開発を見越して設計しています。ボトムリング付近の内径がデンナーのように逆テーパーでないブレッサンだからこそできる構成です。
415Hz用に開発した中部管のみをG-1A(モダンピッチ)に取り付けた場合、最低音F音程が高くなってしまします。
そこで既存の白色部品は流用し、はかま状の黒色部品と延長リングのみを新造。
全部品の金型を新規に起こすことなく、最小限の部品変更で適切な音程が取れる415Hz専用足部管となります。
G-1A(モダンピッチ)で採用した、プラスチックリコーダー初の多孔アンダーカットの再現。
415Hz中部管でも同じく中部管本体とは別体のリング部品を採用していきます。
アンダーカットを再現することで、415Hz中部管も音孔間隔が広すぎることはなく、現時点で1~3孔の間隔は生産終了となった1500BNブレッサンよりも狭くなっています。
0/2孔との相対関係はありますが、G-1A/415は左手に負担の少ない音孔配置になります。
モダンピッチから半音(1/12)下がる415Hz、内径容積はモダンピッチ比108.3%(13/12)となります。 従って、発音部にはこの増減率8.3%(1/12)を補う「パワー」が求められます。既存のプラリコーダーと同等の市場規模を415Hzに求めることは難しく、楽器全体の専用設計、完全新金型での開発は望めません。そこでG-1A/415の生産に向け、既存のG-1Aの設計を見直し、415Hzの中/足部管に対応しうる性能をもつ頭部管/発音部の金型を新造することで、頭部管の共通化を実現します。
これまで手加工の状態を紹介していた中部管。
測定、モデリングも終わり、音孔リングの嵌った製品仕様に近い段階まで進んでいます。
手加工で開けられた音孔とアンダーカットは、決して左右対称ではありません。
この測定データの近似値を設計寸法としていきますが、金型に削り方向の調整幅を保たせるため、まずは手加工よりも大きめに作ります。木製リコーダー製作とは逆転する作業になります。
開発はいよいよ、表面つや消しのシボ加工、音程調整の最終段階。これに並行して成形と組み立てラインでの試験生産へと移行します。
「完全」への飽くなき探求。アルトリコーダー 「ブレッサン G-1A」誕生───
平尾重治氏と竹山宏之氏の共同設計・監修による画期的なリコーダーで、オリジナル楽器さながらの音色、音程で、吹き心地を徹底的に追求しました。