【曲目紹介(その5)】11/30(金)「四人組とその仲間たち」コンサート池辺 晋一郎《バイヴァランスIX》2人のトランペット奏者のために
全曲が世界初演の「四人組とその仲間たち」コンサート。
当日初めて発表される新作について、少しだけその内容をお知らせします。
第5弾は池辺晋一郎さんの新作についてです。
池辺 晋一郎《バイヴァランスIX》 2人のトランペット奏者のために
- 演奏:高橋 敦(tpt)、中山 隆崇(tpt)
演奏所要時間:約5分30秒
作曲者による解説
- 1997年以来、チェロ、ヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、オーボエ、コントラバス、打楽器、サクソフォンと、同じ楽器のデュオを書きつづけてきた。寄り添うか、反発しあうか、同楽器ゆえに緊迫するか、あるいは弛緩するか…さまざまなケースを想い、あたかも登場人物が二人だけの芝居を書くような気持ちで、書いてきたのである。「Ⅸ」は初めての金管楽器。僕にとって新しい挑戦だ。
二人のトランペット奏者で、「一人」を演出しようと試みた。連続する細かな刻みは、もしかしたら一種のトランス効果を現出させるかもしれない。それが忘我の状態を生むとすれば、残るのはその刻みに対峙する「動き」であり、それが「唯一人」の形象化となるだろう。約10分の曲という発想で書き始めたころ、その断片を友人のトランペット奏者に見せたら「これで10分は無理」と言われた。5分とちょっとの作品になったのはそのため。演奏はかなり厳しい。高橋敦、中山隆崇という名手二人に初演をゆだねることができて、うれしい。お二人に心からの感謝を捧げる次第である。
(池辺 晋一郎)