【ビデオレター】池辺晋一郎《ハーモニカは笑い、そして沸騰する》(12/13四人組コンサート)
12/13(金)に迫った第26回「四人組とその仲間たち」コンサート。
当日初めて発表される新作について、作曲家の池辺晋一郎さんから届いたビデオメッセージと作品解説をご紹介します。
池辺晋一郎《ハーモニカは笑い、そして沸騰する》
作曲者による解説
- ハーモニカの曲を書くとは、思っていなかった。きっかけは次のとおり。僕は、毎年2月富山県魚津市で「早春音楽だより」というコンサートを企画しており、毎回何かの楽器に焦点をあて、優れた演奏家に出演をお願いしてきた。2019年、17回目が終わった懇談の席で、地元の実業家である実行委員長K氏が、最近ハーモニカを習い始めたという話をした。その時、ひらめいたのである。来年はハーモニカにしよう!
となると、毎回この企画には自作を含めてきたから、該当作がなければ。では、書こう。書くなら、ソロの曲だ。和谷泰扶さんという名手の存在を知っていたことがモチベイションになった。和谷さんのレクチャーを受け、19年6~7月に作曲。それは、ハーモニカという楽器の信じられないほどの豊かな可能性に震撼させられつつの作業だった。とはいえ、あらゆる楽器と同じく、可能性の反対側に不可能な領域がある。しかし、それこそが楽器の魅力であり、発想を生むのである。
03年の「ホルンは怒り、しかし歌う」以降、クラリネット、フルート、スネアドラム、ギター、ティンパニ、ファゴットとつづけてきたシリーズに連なる作品。前記の事情により、この初演のあと2月16日魚津で、再演が予定されている。
(池辺晋一郎)