【ビデオレター】池辺晋一郎《バイヴァランスXVI 2本のファゴットのために》(11/30四人組コンサート)
11/30(火)に迫った第27回「四人組とその仲間たち」コンサート。
当日初めて発表される新作について、作曲家の池辺晋一郎さんから届いたビデオメッセージと作品解説をご紹介します。
池辺晋一郎《バイヴァランスXVI 2本のファゴットのために》
- 演奏:長 哲也(bn)、福士マリ子(bn)
演奏所要時間:約11分30秒
作曲者による解説
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オーケストラ以外では、つき合うことが多いとは言えないのがファゴット。学生時代(1965)に書いた木管三重奏曲くらいか……。
それが近年になって急接近したのは、優れた演奏家の存在ゆえだ。協奏曲《炎の資格》(1999ー2004改作)、ストラータⅩ(チェロとのデュオ・2014)「ファゴットはたゆたい、そして微笑む」(ソロ・2015)が近年の所産。
同楽器のデュオである「バイヴァランス」は、1997年からチェロ、ヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、オーボエ、コントラバス、打楽器、サクソフォン、トランペット、マンドリン、声、ハープ、フルート、ホルン、リコーダーと連ねてきた。
今回の「XVI」は、長哲也、福士マリ子という卓越した若い二人を念頭に、一昨年着手したが、日程の事情やコロナ禍で中断を余儀なくされ、本年に入って再始動。7月中旬に脱稿した。
このシリーズで初めての5章構成。Ⅰは近接した音程による速いパッセージを2本が交代しつつ進む。あたかも1本のように。Ⅱは上行形と下降形が拮抗し、たがいに対照形をつくる。Ⅲは遅いテンポによる歌と、それをさえぎろうとする動き。
Ⅳは分散音的なフレーズによる勢力図。Ⅴで両者は協働に至るが、ラストはⅠの「交代」に立ち戻る。演奏時間、約11分30秒。
(池辺晋一郎)