【ビデオレター】新実徳英《ソムニウム クラリネットとピアノのために》(11/30四人組コンサート)
11/30(火)に迫った第27回「四人組とその仲間たち」コンサート。
当日初めて発表される新作について、作曲家の新実徳英さんから届いたビデオメッセージと作品解説をご紹介します。
新実徳英《ソムニウム クラリネットとピアノのために》
- 演奏:板倉康明(cl)、中川俊郎(pf)
演奏所要時間:約11分30秒
作曲者による解説
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私たちの見る夢=somnium(L.)は実に不可解な代物だ。通常は眠っている間に外部から刺激があるわけではないので、これは純粋に自分の内部での出来事である。つまり、自分の知らない何かが内部に潜在しているということになる。仮にこれを「狂気」呼んでも良いだろう。
この「狂気」のようなものを描きたいと思うのだが、狂気そのものを描くのは到底できない。なぜなら音楽は一定の「秩序」の中に成り立っているものだからだ。と知りつつも敢えて試みたのが本作である。
文学、絵画、映画…の中に体験する不可解、不条理、あるいは狂気が今回の作品に立ち顕れるのかどうか分からない。一篇の「美しい」作品となってしまうのであれば、それに甘んずることにしよう。
全体は1楽章形式。初演の労をお取り下さる板倉さん中川さんは長年の音楽仲間で、この曲はお二人のキャラクターと卓越した音楽力を頼りに作曲を進めたのだった。
この場をお借りして、この初演に関わって下さった全ての方々に心より謝意を表するものです。
(新実徳英)