【ビデオレター】池辺晋一郎《ストラータXI》(12/4四人組コンサート)
12/4(金)に迫った第22回「四人組とその仲間たち」コンサート。
当日初めて発表される新作について、作曲家の池辺晋一郎さんから届いたビデオメッセージと作品解説をご紹介します。
池辺晋一郎《ストラータXI》
- 演奏:クァルテット・エクセルシオ
演奏所要時間:約8分30秒
作曲者による解説
- 11作めの「ストラータ」である。そのI、V、IXにつづく4つめの弦楽四重奏曲となった。そもそも88年に、レジスター(音域)を地層と捉えて発想し、開始したシリーズだ。タイトルは、地層=Stratumの複数形=Strata。だが、10作を書いてくれば、はじめの思いがさまざまな面で変化してきたことは当然。今回、原点に立ち戻ってみようと考えた。端的に言えば「I」と同じ編成による再出発の「XI」だ。全曲にわたって常に4人が描く「層」を眺めつづけることが、作曲という営為になった。一般的な意味での「展開」を拒否し、地層の風景が連なるパノラマになることを望んだ。急─緩─急─緩の4つの章から成る。
実を言うとこのジャンルには、上記4曲の前に、学生時代の長大な1曲がある。これは僕の作品リストに含まれていない。とはいえ、弦楽四重奏を書くというイデーが僕の裡(なか)から消えた時期はない。常に、重いイデーである。
クァルテット・エクセルシオの活動については、絶えず瞠目してきた。今回その活動に関わることができるのは、大きな歓びである。
(池辺晋一郎)