【ビデオレター】池辺晋一郎《バイヴァランス XIII》（12/8四人組コンサート） : 全音楽譜出版社

【ビデオレター】池辺晋一郎《バイヴァランス XIII》（12/8四人組コンサート）

更新日：2017年12月4日

12/8（金）に迫った第24回「四人組とその仲間たち」コンサート。
当日初めて発表される新作について、作曲家の池辺晋一郎さんから届いたビデオメッセージと作品解説をご紹介します。

同じ楽器のデュオである「バイヴァァランス」を、1997年のチェロ以降、ウ?ァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、オーボエ、コントラバス、打楽器、サクソフォン、トランペット、マンドリン、声、ハープと連ねてきた(すべて全音刊)。イデーは曲ごとにさまざまだが、今年書いたハープと今回のフルート作品は、特殊な現代奏法の使用を最低限にとどめ(現代奏法のエキジビションのような昨今の作品に辟易していることもあり)、エチュード的性格を帯びている点で共通している。2本のフルートが対峙することなく、むしろ協働しつつスリリングな構図を形成することを願った。54年前に東京芸大同級生として出会い、以来ソロ作品や協奏曲、そして映画・放送などスタジオ仕事も含めおびただしい数のシーンでつきあってきた親友=フルーティスト小泉浩のための曲をこのシリーズに加えなくてはならない──それは僕にとって、ほとんど業（ごう）と呼んでいいものであった。小泉浩と、その愛弟子で、やはり拙作を吹いてくれている織田なおみさんが初演してくれる今回の機会に感謝し、そして作曲者として、幸せと大きな歓びを抱いている。 （池辺晋一郎）