【ビデオレター】西村朗《ハラーハラ》(12/9四人組コンサート)
12/9(金)に迫った第23回「四人組とその仲間たち」コンサート。
当日初めて発表される新作について、作曲家の西村朗さんから届いたビデオメッセージと作品解説をご紹介します
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西村朗《ハラーハラ》独奏アルト・サクソフォンのための
作曲者による解説
- 世界屈指のヴィルトゥオーゾ、須川展也さんに献じた技巧的なアルト・サクソフォン独奏曲。
曲はヒンズー教の神話「乳海撹拌”Samudra manthan”」にインスパイアされた三つの楽章より成っている。
《I》Milky(ミルク状の):原初の様々な生命体や植物の種を内包した乳状の大海”Ocean of Milk” への賛歌。
《II》Churning( 撹拌):不死の霊薬アムリタ”Amrita” を創出するための乳海撹拌。撹拌のための巨大軸を回転させるロープにされたのは、巨大長蛇ヴァースキ”Vasuki”。
《III》Blue throat(青い喉):乳海撹拌のロープにされたヴァースキは、苦痛のあまり猛毒ハラーハラ”Halahala” を吐き出す。
すべてを死滅させる猛毒に世界中は一瞬パニックになるが、危ういところでシヴァ神”Shiva” がその毒を吸い飲み込んで世界を救った。ハラーハラを吸い飲んだためシヴァ神の喉は青く変色した。ゆえに、シヴァ神の別名のひとつは「ニーラカンタ”Neelakantha=Blue throat”」である。
須川展也さんの妙技を思いつつ作曲した戯画的な独奏曲。
(西村 朗)