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N響アワーの司会・解説者でおなじみ池辺晋一郎作曲の子どものためのヴァイオリン曲って!?

NHK教育テレビで日曜日の夜に放送されている「N響アワー」。現在は西村朗先生が司会を務められていますが、以前に司会者にして解説者をされたのが、西村先生とともに全音が主催する「四人組(とその仲間たち)」コンサートの中心として毎年新作を提供していただいている池辺晋一郎先生です。現代日本を代表する作曲家のひとりでいらっしゃいます。

 

ところで、うーん難しいゲンダイオンガクの作曲家の曲は、あまり興味がわかないなー・・・!? という人がほとんどだと思いますが、池辺センセイは、他の四人組の作曲家の先生方とは(失礼)ちょっと違います!

 

まずNHKの大河ドラマ「黄金の日々」「独眼竜正宗」「八代将軍吉宗」などテレビで耳に馴染みのある音楽を作曲、また同じNHKで初めてのアニメーション番組「未来少年コナン」でも、2つの主題歌とあわせて池辺センセイがBGMをすべて作曲しています。それから黒澤明監督の映画「影武者」「八月の狂詩曲」他、また篠田正博監督の「瀬戸内少年野球団」や「スパイ・ゾルゲ」などを手掛けており、日本アカデミー賞優秀音楽賞を8回受賞されています。

 

そして池辺センセイには、お嬢さんの麻子さんが幼少のころ、久保田良作 先生のもとでヴァイオリンのレッスンに使えるように書いた、ヴァイオリンのための易しく愛らしい作曲がいくつか何曲かあります。それをまとめた曲集が、全音から出版している「ヴァイオリンの花束」と名付けられた次の2つの曲集です。

 

【やさしいヴァイオリン曲 オススメ楽譜・1】

池辺晋一郎 ヴァイオリンの花束 - 11の小品

 ISBN978-4-11-322031-X  定価[本体1,700円+税]

 

 

【やさしいヴァイオリン曲 オススメ楽譜・2】

池辺晋一郎 ヴァイオリンの花束 - 3つのコンチェルティーノ

 ISBN978-4-11-322032-8  定価[本体1,800円+税]

 

 

どちらも池辺センセイにとって、子どものために書いた楽譜の初めての出版ですが、ヴァイオリンをはじめたばかりの方に楽しく弾いてもらえるような曲ばかりです。

 

11の小品〉の方がずっと初歩の生徒さん向けの曲集で、「ヴァイオリンピアノのための4つの小品」「2つのヴァイオリンのための2つの小品」「3つのカノン」はどの曲もファーストポジションで弾ける曲。複数の生徒さん(演奏者)で音あそびとして楽しみながら演奏でき、池辺センセイのウィットに富んだ仕掛けがしてあります。

また後半の「ファンタジー」「序奏とヴィーヴォ」は、ちょっと上達した生徒さん向けの、ピアノ伴奏つきの少し大きめの規模で書かれた曲で、麻子さんが発表会で演奏するために作曲されました。

 

3つのコンチェルティーノ〉は、そろそろザイツの学生協奏曲をレッスンで弾き始めた生徒さんに最適な、発表会用の「小さな協奏曲(=コンチェルティーノ)」です。第1番、第2番、第3番の3曲ともに3つの楽章で書かれていて、レッスンはもちろん、ピアノ伴奏と一緒に発表会で弾くのにオススメです。(発表会で弾くのはこの中のひとつの楽章だけで充分かもしれません)

特にヴァイオリンのレッスンを始めたての大人の方が、発表会で年少の出演者の間で演奏することになったとき、毎年自分よりずっと若い出演者の誰かが弾いているような、おなじみの曲を練習して舞台に立つのはハズかしーなーといったときに、そういう曲とは違った曲、しかもあのN響アワー司会者の池辺晋一郎センセイの曲を立派に演奏できたら、ちょっと格好いいかもしれません。

 

ところで2巻の楽譜「ヴァイオリンの花束」の全曲を収めたCDが、カメラータ・トウキョウから発売されていますので、演奏の参考にいかがでしょうか(CMCD-28070)。

CDの演奏はヴァイオリンが、楽譜に運指や運弓を入れる協力をいただいた篠崎功子さん(「篠崎バイオリン」編者の先生)、そしてピアノは麻子さんが発表会で弾かれたときにも伴奏をつとめられていた、斎木ユリさんによるもので、これも不思議な巡り合わせの演奏者の顔触れによる、贅沢なCDになっています。

 

 

butaneko

 

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作曲家 池辺晋一郎氏の横顔

(かつて)N響アワーの司会者・解説者としてお茶の間でもお馴染みの日本を代表する作曲家のひとり。NHK大河ドラマ「黄金の日々」「独眼竜正宗」などの作曲でも広く知られ、日本アカデミー賞優秀音楽賞を8回受賞。

現在、東京音楽大学作曲科教授。(社)日本作曲家協議会元会長。