【ビデオレター】池辺晋一郎《バイヴァランス XVII 2本のトロンボーンのために》(12/9四人組コンサート)
12/9(金)に迫った第28回「四人組とその仲間たち」コンサート。
当日初めて発表される新作について、作曲家の池辺晋一郎さんから届いたビデオメッセージと作品解説をご紹介します。
池辺晋一郎《バイヴァランス XVII 2本のトロンボーンのために》
- 演奏:村田厚生(tb)、飯田智彦(tb)
演奏所要時間:約10分30秒
作曲者による解説
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元来、教会の楽器として荘厳な響きを専らとしてきたトロンボーンは、ベートーヴェンがその「交響曲第5番」最終楽章で朗々と吠えたてさせて以来、表現領域を大きく広げてきた。「大きなトランペット」を意味しつつ、前身であるサックバットの「引く、押す」の意も包含しているのが現代のトロンボーン。
97年のチェロに始まり、以後ヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、オーボエ、コントラバス、打楽器、サクソフォン、トランペット、マンドリン、声、ハープ、フルート、ホルン、リコーダー、ファゴットとつづけてきた2つの同楽器のためのシリーズの一環である。トロンボーンという楽器の可能性を徹底的に追求してみようと考えた。
現代音楽の騎手・村田厚生さんの存在が発想の原点だ。オーケストラの一角という立ち位置ではできない、卓越した奏者2人だからこそ可能なことを、すべてやってみようというコンセプトである。この春に書き始め、8月18日に脱稿。村田さん推薦の飯田智彦さんとの初めてのおつきあいも、楽しみである。
(池辺晋一郎)