TOWARD A PEACEFUL MORNING for Violin，Viola and Harp（2024）

　「銀座十字屋」は、楽譜を買うため学生時代にしばしばお世話になった店だ。現在は、ハープとフルートに特化したサロンになっているが、2024年に創立150年を迎えた老舗である。僕は、取締役会長の中村千恵子さんと以前から知己で、そのサロンの音楽イヴェントに参加するなどしてきた。150周年記念としてヴァイオリン、ヴィオラとハープによるコンサートを開催するが、そのような編成の曲がないので書いてほしいというご依頼である。
　「150年」のさらに先にある「やすらぎ」を、その訪れの「朝」を想い、コンサートを待つ春の日々に、作曲した。響きも流れも、柔らかさ、静けさに貫かれている。「やすらぎの翼」（ヴァイオリン、ヴィオラとチェロ、2005年）の風景を、もう一度眺めてみようと思った。初演は、著名な大ベテランの勢揃い。豪華なコンサートであった。