- 日本語
- ENGLISH
鈴木輝昭SUZUKI, Teruaki(1958.2.16-)
PROLATIO pour Clarinette et 13 Instruments(1990)
プロラツィオ クラリネットと13楽器のための
- 楽器編成
- 2(II=picc).1(=eh).0.1-1.0.0.0-perc(1):mar/vib/chinese gongs/water gong-hp-pf-str(2.1.1.1),solo cl
- 演奏時間
- 11’30”
- カテゴリー
- 室内楽(3人以上)
- 初演
- Ayako Oshima(cl),Takahide Tanaka(fl),Mari Masuda(fl),Nobuyoshi Asama(ob),Masayuki Okamoto(bn),Osamu Takeuchi(hrn),Eiko Ito(perc),Mieko Inoue(hp),Toshio Nakagawa(pf),Sonoko Numata(vn),Tomoshige Yamamoto(vn),Yoshiko Morita(va),Kazumasa Chomei(vc),Shu Yoshida(cb)
- 曲目解説
-
クラリネットと13の楽器によって奏される音には細かい刻みが多く要求されている。この刻み(トレモロ)は本作品の主要動機ともいえるもので、発音原理の異なる様々な楽器のトレモロは、その組み合わせや混合により、多様な遠近法や色彩を描き出すことができる。
トレモロの連続が引き起こす振動やうねり、光度に変化をもたらす試みは、茅蜩(ひぐらし)の声に着想を得たもので、それは持続の中で絶えず変容を繰り返す。
私にとって、降り注ぐような「ひぐらし」の声は、感覚的体験を通して長い間追い続けてきた幻想であり、その幻想は抗しがたい必然の姿で多くの作品に投影されてきた。「ひぐらし」に向けた観想を抽象的な音のイメージに敷衍し、音響空間に方向性を与えることが課せられた現実である。
クラリネットに先導される旋律に13の楽器がヘテロフォニックに絡み合い、ソノリティの光と陰を交錯させる。
ソロ・クラリネットは独奏パートとしての自立よりも、通奏される音像の糸となって全体を牽引し、管弦楽を縦横に揺さぶりながら求心的な融合を計る。
soloとtuttiの緊密な関わりと呼吸によってもたらされるテクスチュアは、空気に波をおこし、時間の潮汐作用を形成する。
(prolatio=14世紀アルス・ノーヴァの定量体系の中で確立した記譜法の第四段階)
楽器愛好家や音楽教育に携わる方々に幅広い楽器・教材を提供しています。