RUSH TO THE PAST! for Cello Solo（2019）

　ダンスフロアで１人、ひたすらステップを踏んでいる。次第に激していく中、気がつけば体は土着のリズムに乗っている。そうかと思えばすぐにまた異国の音楽が目の前を通り過ぎていく。どうやらこのダンスフロアにいると次々にあらゆる時代の景色が聞こえてくるようだ。まるで時のレールに乗って踊っているようだ。車輪がめまぐるしいスピードで回りだした。急がなければ、早く行かなければ！時代を駆け抜け時空を超えてエンジン全開、いざ、BACHへ！
（初演時プログラムノート）

　音楽のタイムマシンに乗り、土着の踊りに出会ったり、19、20世紀音楽の響きを創った偉人たちと出会ったりしながらすさまじい勢いでJ.S.バッハのもとへ会いに行くこの作品は、初演者である山澤氏による「J.S.バッハの６つの無伴奏チェロ組曲を、各曲のプレリュードに繋がる新作プレリュードと交互に演奏する」という、リサイタル全体の構造から着想を得て生まれた作品です。