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福丸光詩FUKUMARU, Koji(1997-)
THE WIND PRAISE for Wind Orchestra(2023)
ウインド・プレイズ
- 楽器編成
- picc,2fl,2ob,Ebcl,3Bbcl,acl,bcl,cbcl,bn,cbn,2asax,tsax,bsax,4hrn,3tpt,3trbn,2euph,tuba,cb,hp,pf,timp,perc:SD/cyms/BD/tgl/sus.cym/glock
- 演奏時間
- 5’00”
- カテゴリー
- 吹奏楽/木管・金管アンサンブル
- 委嘱
- 大井剛史、東京佼成ウインドオーケストラ共同委嘱
- 初演
- 26 January 2024. Tokyo. Tokyo Kosei Wind Orchestra,cond. by Takeshi Ooi
- 曲目解説
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《ウインド・プレイズ》は、東京佼成ウインドオーケストラ(以下、TKWO)と、同楽団正指揮者である大井剛史氏の共同委嘱により、TKWO第163回 定期演奏会のオープニングピースとして作曲されました。タイトルである《ウインド・プレイズ(The Wind Praise)》には2つの意味をもたせています。
ひとつ目は「吹奏楽(Wind)、賞賛(Praise)」。すなわち、大井氏のTKWO正指揮者就任から10年と、同時に今年4月より新たに常任指揮者への就任を祝うという意味を込めています。冒頭のトランペットが奏でる祝祭的なテーマは、大井剛史氏の名前のアルファベット10文字(Takeshi Ooi)を音列化した10音からはじまり、このテーマに含まれる特徴的な音型が対位法的模倣を展開し、音楽全体の骨格を形成しています。
ふたつ目は「聖霊(Wind)、賛美(Praise)」。聖霊とは、三位一体というキリスト教の神概念における第3位格の神であり、ギリシア語では「風」と「聖霊」をプネウマ(πνε?μα)という同じ言葉で表現します。これにまつわる賛美歌として、今作の中にはグレゴリオ聖歌《Veni Sancte Spiritus(来てください、聖霊よ)》の旋律が殆ど忠実な形を保って引用されています。聖歌や讃美歌が、ある性格をもった楽想の中に埋め込まれているという点において、J.S.バッハの時代に隆盛を極めたコラール編曲(Choralbearbeitung)の手法で書かれた作品であると位置付けることもできるでしょう。
これら2つの意味を象徴する各要素が、交互に、あるいは同時に現れることで、約5分という演奏時間が一層濃密なものとなっています。外観は簡素に聴こえますが、一度に全てを聴き取ることは(作曲者自身も)できないかもしれません。これはある意味、私が吹奏楽に抱いている展望と期待のささやかな主張であるともいえます。
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