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西村 朗NISHIMURA, Akira(1953.9.8-2023.9.7)
PIANO CONCERTO “CROSSING A-I”(2016)
ピアノ協奏曲〈クロッシングA・I〉
野平一郎との共作
- 楽器編成
- 3(=picc).2.2.2-2.3.3.0-perc(4)-hp-str,solo pf
- 演奏時間
- 25’00”
- カテゴリー
- オーケストラ
- 委嘱
- サントリー芸術財団
- 初演
- 2016. October 28,Tokyo. Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra,cond. by Yoichi Sugiyama,Ichiro Nodaira(pf)
- 録音
- CAMERATA/CMCD-28352
- 曲目解説
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共作曲である「ピアノ協奏曲〈クロッシングA・I〉」は三つの楽章から成り、作曲方法は二人の創意が曲中で絡み合って「交差(クロッシング)」するように設定された。すなわち第1楽章のピアノ・ソロパートは西村が作曲し、それに協奏するオーケストラ・パートは野平氏が作曲。第3楽章はその逆の形をとる。中間の第2楽章は終始ピアノ独奏で、二人がそれぞれ6つの断片を作曲し、計12個の断片を独奏者が任意の順で並べ構成して演奏する。
この共作は難しくも面白く、西村にとっては大変勉強になった。第3楽章の野平さんの独奏ピアノ・パートはまことに緻密で、クリスタルな輝きを放つ。これに対し西村は、しばしば軟質液状の響きでの協奏を試みた。異質な性格の響像が出会っての一種特異な結果となったのではと思う。
なお、タイトルの〈A・I〉の意味は、A=Akira(朗)/I= Ichiro(一郎)である。発音は〈クロッシング・エイ・アイ〉。
西村 朗
これについては西村朗さんの解説にすべてが語られている。第1楽章の西村さんが書かれたソロ・パートは、エネルギーに満ちあふれた流れるような音楽であり、ここに導かれ一緒に流れたり、あるいは断片化して反発したりしながらオーケストラを考えていった。第2楽章のカデンツァに関しては、すでに出来上がっていた西村さんの6つの性格的小品(甘く神秘的に・落下・脈動・銀河・噴火・誘惑)に対して、わたしは6つの、素材の発展の仕方を念頭においた小品~爆発・逸脱・演繹・停滞=拡散・模倣・反発~を書いてみた。第3楽章は、私がソロ・パートを書いた。第1楽章の西村さんの音楽を知ってから書いたものであり、この協奏曲に1つの帰結をもたらすように願った。
野平一郎
楽器愛好家や音楽教育に携わる方々に幅広い楽器・教材を提供しています。