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伊藤弘之ITOH, Hiroyuki(1963.4.1-)
TERRA INCOGNITA for Percussion Solo(2009)
まだ見ぬ大地 打楽器ソロのための
- 楽器編成
- perc
- 演奏時間
- 11’00”
- カテゴリー
- ソロ
- 委嘱
- 全音楽譜出版社
- 初演
- 20 November 2009. Tokyo. Yoshiko Kanda(perc)
- 曲目解説
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ヴィブラフォンを中心に、大太鼓、いくつかのカウベルとウッドブロックが加わるだけの比較的シンプルな編成のマルティプル・パーカッション作品である。これまで私が書いてきた他の大部分の作品同様、この曲でも、揺れるイメージやフラジャイル感を実現するひとつの要素として、「四分音」を使っている。(ただしこの作品では、楽器の特性上、その頻度は少し控えめだ。)
この四分音を作りだすために、ヴィブラフォンにちょっとした「仕掛け」を施している。市販のプラスチック製「洗濯バサミ」でヴィブラフォンの中~低音域の鍵盤をはさむと、音色の変化を伴いながら(余韻が少なくなり、やや暗い音になる)およそ四分音くらい音程を下げることが出来る。実にシンプルに、かつ、楽器をいためることなく出来る方法なのだが、さまざまな実験を重ねた末に自分自身で見つけたもので、何人かの打楽器奏者に尋ねたが、この方法を知っている人は誰もいなかった。(冗談半分ながら、ひょっとすると、独自の「新発明」かもしれないなどとも密かに思っている。)この方法でヴィブラフォンの数枚の鍵盤を四分音のピッチに調律し、カウベルも四分音のピッチを選ぶように指定してあるのだが、これらの四分音のミクスチュアとデリケートな音色のグラデーションとが織りなすやや不安定な音響の美しさと、絶えず微細にスピードを変化させるリズムの揺れとの絡みあいを主軸に、マルティプル・パーカッションの世界の「まだ見ぬ大地」を見つけ出し、同時に「まだ見ぬ大地」を夢見る私の内面世界を描きだせたらと思いながら作曲した。
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