長生 淳NAGAO, Jun(1964.3.1-)

THE BIRD OF THE FEELINGS for Clarinet and Piano(2004)

萬情の鳥 クラリネットとピアノのための

楽器編成
cl, pf
演奏時間
12’00”
カテゴリー
デュエット
委嘱
小倉清澄
初演
10 October 2004. Morioka. Kiyosumi Ogura(cl), Yoshie Nakashima(pf)
録音
FLCP21008
曲目解説
この曲はクラリネット奏者の小倉清澄さんから、童謡・唱歌を使ってパラフレーズものをというご依頼をいただいて2004年に書いたものです。
童謡・唱歌を「たなばたさま」「海」「虫のこえ」「紅葉」「冬の夜」「うれしいひなまつり」と季節を追う形で引用はしつつ、基調となっているのは曲の冒頭と最後に使っている「しゃぼん玉」への感慨です。
あとから調べてみて、作詞の経緯が実ははっきりしていないことがわかったのですけれど、曲を書いているときは、作詞者・野口雨情のまだ幼い我が子を失った無念が「しゃぼん玉」の歌になったのだ、と思っていまして(きっかけはどうであれ、それに近い思いが込められた歌だ、とは今でも思っていますけれど)、それをいろんな曲をくるんでひとつにまとめる、かなめにしようと考えたわけです。それぞれの歌の情景が、亡き子との思い出に重なるかのような。
最初に小倉さんがこの曲を演奏したのを聴いたときには、そういった父親の情念的な面もありつつも、なにかそれを高いところから見下ろしているような、幼子の魂が鳥となって俯瞰しているような印象をもちました。曲名を「萬情の鳥」としたのはそのためです。いやそもそも、童謡・唱歌を使った曲を、というときにこのような曲調で書こうと考えたのも、小倉さんのクラリネットの、人の手の届かない高みにつながっていくような不思議な魅力の音色が、おおもとになっているのだと思います。

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