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伊福部 昭IFUKUBE, Akira(1914.5.31-2006.2.8)
THE JAPANESE SUITE for String Orchestra(1998)
絃楽オーケストラのための日本組曲
盆踊り/七夕/演怜/佞武多
- 楽器編成
- str
- 演奏時間
- 17’00”
- カテゴリー
- オーケストラ
- 初演
- 14 October 1998. Tokyo College of Music String Ensemble, cond. by Toshiyuki Uzuka
- 曲目解説
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この作品は、この度、東京音楽大学のアンサンブル・エンドレスのために新たに編作したものです。原曲は1934年に書いたピアノの独奏曲で、ドビュッシーの親しい友人で、特異なピアニストであったスペインのジョージ・コープランドのために書いたものです。ドビュッシーはコープランドの演奏を、自分の生存中にこのような深い理解をもつ演奏を聴き得るとは思わなかったと讃え、二人は家庭で食事を供にするような間柄でした。作品をコープランドに送った時、彼は踵を痛めて静養中で、毎日、パルマの海で水浴を楽しんで居るが、足が直り次第、是非コンサートで演奏したいと言う返信に接しました。然し、拙悪しくその直後、スペイン内乱が勃発、連絡は途絶えてしまいました。このピアノ版は、後れて、1938年ヴェネチア国際現代音楽祭でジーノ・ゴリーニによって初演されましたが、続く第二次世界大戦のため、その後の消息は不詳のままとなってしまいました。編作としては、他に、管弦楽版(1991)がありますが、今回のように弦楽のみのアンサンブルへの編作には些か躊躇するところがありました。と言うのは、この楽案と弦楽器の特性との間に、何か本質的に不適合なものがあるように思われてならなかったからでした
ところが、話は跳びますが、昨年秋、真に思いがけぬことにジョージ・コープランドのCDがパールというレーベルから発売されました。聴くと、私が狂気に近く心酔した60年以上前の録音がそのまま復刻されたものでした。この演奏を忘れずにいた人達のあることに感動すると同時に、私としては突然少年時代に戻ったような思いで、往時のメゾン・アンド・ハムリンの音は、涙を誘う程に懐かしいものでした。そんな思いに揺れている時、計らずも、若い学生諸子のアンサンブルより編作の話があったので、何か不思議な因縁のようなものを感じて、この編作を決意したのでした。
旋律も律動も日本の伝統的な様式を重視しているので、弦楽器の奏法も、所謂オーソドックスなものより寧ろジプシィ・ヴァイオリンに近い奏法がとられています。若い時代の拙作を、60年後の今、若い諸子が演奏して下さるという。どのように響くであろうか。何か名状し難い複雑な思いにかられています。
伊福部 昭(初演プログラムより)
(出版社註:事実誤認と思われる箇所がありますが、著者が故人であるがため原文のまま掲載いたしました。)
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