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ワン・シンヤン(王心阳)WANG, Xinyang(1989-)
BORÉAS for Orchestra(2019)
ボレアス オーケストラのための
- 楽器編成
- 2+picc.2.2.2-4.3.2+btrbn.1-timp.perc:mar/vib/BD/wind chime/tom-t/bongo/slide whistle/sus.cym/xyl/almglock/glock/thunder sheet/tamb/flex/SD/tgl/Chinese opera cymbal/tbells/Chinese gong/woodblk/seashell chime/sand paper/cyms/mark tree-hp-pf-str
- 演奏時間
- 10’00”
- カテゴリー
- オーケストラ
- 初演
- 19 January 2021. Tokyo Opera City Hall. Tokyo Philharmonic Orchestra, cond. by Yoichi Sugiyama
- 曲目解説
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《ボレアス》は、単一楽章による管弦楽のための幻想曲である。本作は、ギリシャ神話における北風、冬、氷の神であるボレアス、また1000年前の中国の詩にみられる北風と雪の繊細な描写に触発されたものである。そうした描写のひとつに、元好問(1190–1257)の次の詩がある。
乾坤展清眺,万景若相借。北风三日雪,太素秉元化。
天と地のひじょうに澄みきった姿が眼前に広がる
あたかもすべての眺めが、互いの姿を借りて励まし合っているかのように。
北風が吹き、雪が降り続いた
万物は自然の法則に従って展開する。
本作品の構造と主題の構想は、この詩にインスピレーションを得ている。作品は、聴き手を風と雪を伴う旅へと導き、身を刺すような風と輝く氷を表現しながらも、苛酷さの内にある活力を内包している――冬の荘厳な沈黙の下には、春への隠れた期待が膨らんでおり、それが沈黙する寒さのなかに、暖かみと希望とを吹きこんでいるのだ。
私が2019年に作曲した《ボレアス》は、2020年初頭に東京フィルハーモニー交響楽団によって世界初演された。この作品は、ひとつの音楽体験である以上に、世界に癒しを提供したいという私の願いを伝えている。一音一音が小さな光となり、輝かしい未来への道を照らしだしてくれることを私は望んでいる。
武満徹作曲賞第1位(2020)
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