- 日本語
- ENGLISH
池辺晋一郎IKEBE, Shin-ichiro(1943.9.15-)
CONCERTO FOR BASSOON AND ORCHESTRA "The License of Blaze”(1999)
ファゴットとオーケストラのための協奏曲〈炎の資格〉
- 楽器編成
- 2(II=picc).3(III=eh).2.3(III=cbn)-4.2.2.0-perc(3)-hp-str, solo bn
- 演奏時間
- 14’45”
- カテゴリー
- オーケストラ
- 委嘱
- 馬込勇
- 初演
- 1999. Tokyo. Tokyo Symphony Orchestra, cond. by Shunsuke Hori, Isamu Magome(bn)
- 録音
- CAMERATA/CMCD-28121
- 曲目解説
-
作曲家が「ファゴット協奏曲」を書きたいと痛切に思う、ということは通常の状態ではほとんど考えられないだろう。ファゴットには申し訳ないが、まぁそれが真実だ。ところがこれがピアノや ヴァイオリンなら、発想が渦巻き、とにかく書きたくてたまらない、ということが十分にあり得る。 しかしここに優れた演奏家がいれば話は別。であれば、何だろうが書きたくなってしまうのが作曲家だ。モーツァルトとクラリネット奏者アントン・シュタットラーの関係を待つまでもなく、音楽史上数々の例が、このことを実証している。 馬込勇氏の活動については、かねて瞠目していた。卓越したファゴットの演奏はもちろん、指揮活動もテレビで観、聴かせていただいている。ヨーロッパで活躍する日本人演奏家は今や枚挙に暇がないが、ファゴットとなると珍しい。昨年春、その馬込氏から協奏曲の委嘱をいただき、一も二もなくお引き受けした。ところが僕の日常は目茶苦茶で、思うに任せぬことおびただしい。発想は明確だったが、単にスケジュールの問題で苦しみ続けた。この5月1日にようやく脱稿。曲は、ソロが、その影の役割を担うオーケストラの内の3本の ファゴットを奏するF・A・Gの3音を支えに、広い音域のアルペジオを展開する場から開始する。この3音はファゴット (Fagotto)の頭の3文字にほかならない。「束ねた薪」の意を語源とするこの楽器が闊達に、縦横に動き回り、オーケストラの激しさも凌駕するさまを想った。それは、燎原を焼き尽して行く炎の孤高さに似ていた。すなわち、炎の資格を厳しく自認するファゴットという楽器の強い発言を聴いたように僕は感じたのである。それが、この曲の発想となった。堀俊輔氏、そして東京交響楽団という共演がうれしい。さらに、馬込勇氏の、4つの協奏曲を一気に一晩で、という驚くべき壮挙に作曲者として名前をつらねることができたことは、僕にとっても大きな喜びであり、また誉れだ。ファゴットという楽器の存在感が今夕をきっかけに増すことを、僕もまた心から願っていたい。(初演プログラムより)
楽器愛好家や音楽教育に携わる方々に幅広い楽器・教材を提供しています。