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西村 朗NISHIMURA, Akira(1953.9.8-2023.9.7)
KARURA - Concerto for Oboe and Chamber Orchestra(2000)
オーボエ協奏曲〈迦楼羅〉
- 楽器編成
- 1(=picc).1.1.1-2.1.1.0-perc(2)-hp-pf-str,solo ob
- 演奏時間
- 18’00”
- カテゴリー
- オーケストラ
- 委嘱
- いずみホール、紀尾井ホール、しらかわホール(共同委嘱)
- 初演
- 2000. July 8,Osaka. Izumi Sinfonietta,Osaka,cond. by Norichika Iimori,Thomas Indermühle(ob)
- 録音
- CAMERATA/28CM-523
- 曲目解説
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この曲のタイトル〈迦楼羅〉は、奈良、興福寺の国宝、八部衆立像のひとつ、迦楼羅像をさしている。八部衆とは、人間と異なる姿と力を持って、仏法を守護するとされる仔在。
興福寺の八部衆立像中では 阿修羅像がとくに名高いが、それについで印象的な姿を持つのが迦楼羅像。迦楼羅像は、ほぼ等身大のひきしまった人間の胴体を持ち、その頭部は鳥である。大きな嘴を固く結んだ凜々しい鳥の顔。毎年の大晦日、私は奈良を訪ね、この像の前にしばしたたずむのが習肌になっている。固く結ばれた大きな嘴を見つめる。鳥人像は声を発しない。千数百年にわたっての沈黙。人間の生と死を見守りつつ保たれた深い沈黙。その沈黙の重さ。その嘴と対峙し得るような音楽を書くことはできない。しかし私は、そうと知りつつも、心にイメージしたこの鳥人の山を模したオーボエ協奏曲で、その沈黙に語りかけ、沈黙を揺さぶってみたいと思った。
オーボエのソロ・パートは、特殊奏法を含んできわめて技巧的。オーケストラ・パートの音響には、八部衆の迦楼羅像以外の立像から受けたイメージも織り込まれている。
この協奏曲は、いずみホール(大阪)、しらかわホール(名古屋)、紀尾井ホール(東京)の3ホール共同委嘱により作曲され、2000年7月8日、いずみホールにおいて飯森範親の指揮によるいずみシンフォニエッタ大阪により世界初演された。なお、この作品は初演時の独奏者トーマス・インデアミューレに捧げられている。
CDはカメラータ・トウキョウ(28CM-523)から発売されている。
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