RAINBOW BODY (Corps d'arc-en-ciel)（2008）

この作品のタイトルはチベット仏教に由来するものである。チベット仏教において修行を積み、高い悟りに至った行者は、その死の時、魂は肉体を離れて永遠の至福の光と同化し、同時に肉体も虹の輝きを放って大気中に昇華して消えることがあるとされている。それを「虹の体」 という。この作品はそのような、魂と肉体の、輪廻からの美妙なる解脱に対する憧れをこめた瞑想的幻想曲である。曲は導入部と7つの部分から成っている。7つという数は、虹の7色に由来しており、7つの部分は肉体の、虹色の光への変容と昇華の7つの段階の表象でもある。楽器編成は、フルー ト、オーボ工、クラリネット、バスーン、ホルン、トランペット、トロンボーン、ピアノ、ハープ各1名で、打楽器は2名、弦楽はヴァイオリン2名、ヴィオラ、チェロ、コントラバス各1名だが、 増員は可能。ラジオ・フランスの委嘱により、2008年5月の東京シンフォニエッタのパリ公演のために、2007年晩秋から2008年春にかけて作曲。