西村 朗NISHIMURA, Akira(1953.9.8-2023.9.7)

TRIPLE CONCERTO “THE BUTTERFLY DREAM”, for Violin, Harp, Clarinet and Orchestra(2023)

三重協奏曲〈胡蝶夢〉 ヴァイオリン、ハープ、クラリネットと管弦楽のための

楽器編成
1(=picc, afl).1.0.1-1.1.1.1-perc(2)-pf(=cel)-str, solo vn, solo hp, solo cl
演奏時間
18’00”
カテゴリー
オーケストラ
委嘱
いずみシンフォニエッタ大阪、東京シンフォニエッタ(共同委嘱)
初演
2023. July 8, Osaka. Izumi Sinfonietta Osaka, cond. by Norichika Iimori, Machie Oguri(vn), Kazuko Shinozaki(hp), Nozomi Ueda(cl)
録音
CAMERATA/CMCD-28393
曲目解説
「胡蝶の夢」は、中国戦国時代の宗の思想家荘子(BC369頃~BC286頃)の残した有名な説話。

「あるとき夢の中で、一匹の蝶になった荘子は、自分が荘子であることをすっかり忘れて、美しい花々の間を舞って楽しい時を過ごしていた。ところが、急に夢から覚めると、驚いたことに自分は荘子という一人の人間だった。
しかしまてよ、自分は本当は蝶であって、蝶の夢の中で今、人間になっているのではない のか。」

ずっと以前は、たわいのない説話だと思っていたが、歳を重ねるにつれて意味が深まり、今日ではその内容に対して一種の実感のようなものが生じてきた。
そこで今年7 0歳を迎えるにあたり、この説話をテー マにしてみることにした。
三人のソリストの意味は、あえて言うならば、ヴァイオリンとクラリネットは、蝶もしくは人(固定的ではない)であり、ハー プはそのどちらでもなくどちらでもある「本性」のようなものである。
オーケストラはソリストを増幅したり、時に超自然的に包み込んだりする。「本性」の母体のようなものと言えるかもしれない。

曲の最後でソロの三者を一つに同化させるという道もあったが、それは採らず、ヴァイオリンは超高音域に上昇して消えてゆき、クラリネットは最低音域に沈んで途切れ、ハープは中音域の点描音で沈黙する。
この曲の夢はそのように解けてゆく。

いずみシンフォニエッタ大阪と東京シンフォニエッタの共同委嘱作品として、 2 0 2 3 年の春に作曲。

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