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酒井健治SAKAI, Kenji(1977.8.6-)
VIOLIN CONCERTO “On the G String”(2015)
ヴァイオリン協奏曲〈G線上で〉
- 楽器編成
- 2.2.2.2-4.3.3.0-perc(3)-hp-pf(cel)-str(12.10.8.6.4),solo vn
- 演奏時間
- 18’00”
- カテゴリー
- オーケストラ
- 委嘱
- サントリー芸術財団
- 初演
- 30. August 2015,Suntory Hall(Tokyo),New Japan Philharmonic,cond. by Yoichi Sugiyama,Tatsuki Narita(vn)
- 録音
- ARTE VERUM/QEC2012 (1st movement only)
- 曲目解説
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ヴァイオリン協奏曲「G線上で」は、2012年に開催されたエリザベート王妃国際音楽コンクールのファイナルで課題曲として演奏されたものに加筆し、拡大したものである。課題曲となった作品を第1楽章とし、その後第2楽章、終楽章を加えた決定稿を成田達輝さんに献呈している。
2011年に書かれた第1楽章で提示された様々な動機は、4年の時を経て書き加えられた第2楽章「レント」、第3楽章「フィナーレ」において、この作品に統一感を持たせながらも、異なるシチュエーションで再び使用されている。動機が時間経過と共に展開されていくことにより、第1楽章から終楽章に向けて大きな一つの流れを作ることを念頭に置いた。近年の作品では、第1楽章を書いた当時には無かった協和音を素材にすることが増え、第2楽章は協和音が全く現れない第1楽章と終楽章の移行部として機能し、技巧的な長いカデンツァを経た後に迎える終楽章では協和音が楽章全体を支配する。こうした展開はベートーヴェン等の暗から明へ進行するドラマ性と比較できるのではと思う。
3楽章構成であり、第1楽章が最も重く、第3楽章が軽く作品を締めくくる機能を持つという、それぞれの楽章間の力学的な配置は、前述のドラマ性と共にクラシック音楽の協奏曲に参照点が見て取れる。全楽章で統一をはかるクラシカルな形式を尊重しつつも、第1楽章で提示された動機は終楽章まで展開、更新され続け不可逆的に進行する。この一見アンビヴァレントな発想の共存を一つの作品に閉じ込めようと試みた。
エリザベート王妃国際音楽コンクール作曲部門グランプリ(2012)
芥川作曲賞(2013)
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