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酒井健治SAKAI, Kenji(1977.8.6-)
VISIONS – d’après Gabriele D’Annunzio pour contreténor et orchestre(2019)
ヴィジョン ─ガブリエーレ・ダンヌンツィオに基づいて カウンターテナーとオーケストラのための
詩:ガブリエーレ・ダンヌンツィオ
- 楽器編成
- 3(II=picc,III=afl).3(III=eh).3(III=Ebcl).3(III=cbn)-4.3.3.1-timp.perc(4)-hp-cel-str(12-10-8-6-4),solo CT
- 演奏時間
- 16’00”
- カテゴリー
- オーケストラ
- 委嘱
- 名古屋フィルハーモニー交響楽団
- 初演
- 6,7. December 2019,Aichi Prefectural Art Theater Concert Hall(Nagoya),Nagoya Philharmonic Orchestra,cond. by Sylvain Cambreling,Daichi Fujiki(c-ten)
- 曲目解説
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管弦楽を伴う歌曲「ヴィジョン? ガブリエーレ・ダンヌンツィオに基づいて」は3つの楽章より成立する。ダンヌンツィオはイタリアの詩人で、創作活動においてフランスで起こった象徴主義派の隆盛と重なり、同時代の作曲家であるドビュッシーと意気投合し実際に作品を書き下ろしている。ダンヌンツィオの詩作は人間の抱く強い心理が美しい空想によって彩られ、今回はテキストとして、第一楽章「暁は光と闇とを分かつ」、第二楽章「松林の雨」、第三楽章「風が描く」と自然描写と心理が密接に絡み合う3編を選んだ。
第一楽章は、声楽家にとって研鑽の過程で必ず歌うであろうトスティの歌曲と同じテキストである。明るい曲調のトスティとは違い、冒頭のイングリッシュホルンによって奏されるD音とF音を行き来するモチーフは夜の闇と朝の光の境界を示し、それが死を隠喩するというシリアスな歌曲となった。
第二楽章では、柔らかな雨を彷彿とさせる絶え間なく続く管楽器群による階段状のパッセージを背景に、歌手は幻想的なテキストをシラビックに淡々と歌う。そして美しい自然描写から内面に焦点が当たる中間部では、次第にメロディーが消失、語りへと変質する。
比較的短いテキストを用いた第三楽章では、メロディーは前楽章に比べてメリスマティックに歌われ、風を象徴するモチーフは冒頭のフルートによって演奏される。前の2つの楽章で用いられたモチーフである「雨」、或いは「光と闇の境界」は最後のストローフにおいて再度使用され、同時にこの歌曲集全体を締める。
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