酒井健治SAKAI, Kenji(1977.8.6-)

MONOPOLYPHONIE/D?FIGURATION,pour violoncelle solo(2014)

モノポリフォニー/デフィギュラシオン チェロのための

楽器編成
vc
演奏時間
8’00”
カテゴリー
ソロ
委嘱
中木健二
初演
18. October 2014,Munetsugu Hall(Nagoya),Kenji Nakagi(vc)
曲目解説
『モノポリフォニー/デフィギュラシオン』は、「フーガ、対位法をベースにした作品を」という作曲依頼をクリアするにあたり、新古典主義的なフーガのようなありがちなスタイルに依らない、新しい表現に挑戦した作品である。元々旋律を弾くことの多いチェロという楽器でポリフォニックな表現を獲得するのは、演奏技術的にも作曲技法的にも困難な仕事のひとつである。タイトルのモノポリフォニーは「単複旋律」と翻訳できるが、この矛盾したタイトルそのものが今回の難しい課題に対して僕が出した答であり、単旋律と複旋律の狭間で常に揺れ動く音場そのもの、という表現がこの作品を言い表すのに最も適しているのではと思う。さらに単旋律から複旋律へ、またはその逆の過程の様子を「デフィギュラシオン」(脱形態)と表現しており、冒頭は単音のA音が聞こえるが、実は単音に聞こえるその音は微分音程を伴っており、それが次第に知覚できる複数の音程へと分離し、複旋律へと拡がっていく。
また、この作品が初演された同じ公演で演奏されたバッハの無伴奏チェロ組曲第5番のサラバンドが、「引用」ではなく「統合」という意味において、『モノポリフォニー/デフィギュラシオン』の根幹をなしている。作品の冒頭はそのサラバンドからかなり遠く離れた位置から始まるが、次第に根幹が露わになり、直接的にサラバンドが聞こえ、再びその旋律が脱形態されていくのである。
この作品は初演者である中木健二氏に献呈された。

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