IN A HAZE，pour deux saxophones alto（2018）

アルトサックスのための二重奏曲という同種の楽器のための今回の作品だが、同じ楽器の編成だからこそ引き立つステレオ効果を下敷きとした作風となっており、冒頭では2人の奏者が同調、次第にずれが生じ最終的には対峙する様に正反対の立場にまで移行する。
また今作ではメロディについても考察しており、クラシックとは異なるアプローチによるメロディの作法を考えた。そのメロディは上述のステレオ効果によってタイトルの通り「霞の中で」展開され、次第にメロディと和声が曖昧な状態へと変質する。
この作品の後半にはラヴェルのバレエ作品《ダフニスとクロエ》の夜明けの場面にあるアルペジオの引用が聴こえるが、この作品の性格を端的に示したいと考え、用いたものである。