MOMENT DE RESONANCE，for Trumpet and Trombone（2007）

《共鳴の瞬間》は、私の作品リストの中の、《残響の空間／harp，vln，vla，db》(1992)、《幻影の空間／hr，tpt》(1996)、《実在の空間／2fl》(2005)と続く「空間シリーズ」の新作で、共鳴の在り方をテーマに取り上げている。共鳴は物理的な現象だが、人間はそれを感覚的に認知する。両者の間には大きな差異が在るようで無く、無いようで在る。
曲は5部から構成され、各部の難易度が異なるのがこの作品の特徴だ。初演では続けて演奏されるが、実際は独立した小品で、高度な演奏技術を要する曲から気軽に演奏できる曲まで、またデュオやソロなど様々な状況に応じて選択できる。全音楽譜出版社からの委嘱という機会を生かし、出版→再演という流れに持ち込めるようにという願いを、今回、初めて作品のコンセプトにまで投影させた。また、そのことが自分の語法・表現の開拓を緩めることに繋がらないよう、更に意識を徹底させた。