カワイ出版部 編集課 A.A.さん(2020年入社)

人と音楽の出会いを、次の一冊へ——
合唱の新しいレパートリーを生み出す編集者の仕事
現在の仕事内容
企画から出版までを指揮する、楽譜づくりの“現場監督”
私はカワイ出版部の編集課で、主に合唱楽譜の編集を担当しています。現在、入社7年目です(取材時点)。
編集の仕事は、原稿を校正するだけではありません。自分で楽譜の企画を立てることもあれば、作曲家の先生方から「この作品を出版したい」とお話をいただくこともあります。企画が決まると、まず原稿を確認し、演奏する人にとって見やすい楽譜になるようレイアウトを考えて浄書を依頼します。その後も作曲家とのやり取りや校正を重ね、印刷・出版まで、一冊の楽譜ができる工程全体に関わります。
その中で大切なのが、スケジュール管理と、製作に関わる人々とのコミュニケーションです。予定通りに進まないこともありますし、作曲家や浄書業者、表紙デザイナーなど、それぞれの人によって仕事の進め方も違います。状況を見ながら、どうすればうまく進むかを考えて調整していくので、柔軟に対応する力は必要なのかなと感じています。
入社の動機
合唱を続けてきた経験を、仕事に生かせると思った
就職活動をしているなかでご縁があり、カワイ出版の仕事を紹介されたのが入社のきっかけです。
実は小学生の頃はカワイ音楽教室に通っていて、カワイ出版の本も使っていたんです。その後、中学校では吹奏楽部でトランペットを、高校からは合唱を始めました。大学でも合唱を続けるうちに、将来は芸術や音楽に関わる仕事がしたいと考えるようになりました。
自分がこれまで続けてきた合唱の経験や、そこで築いてきた人とのつながりを仕事に生かせるのではないかと思ったんです。
入社前には今の上司に、「“合唱のカワイ”として、合唱界をリードしてほしい。」と言われたことを覚えています。なんて責任重大なんだと思いましたが、それと同時に、自分の経験を生かせる仕事に就きたいと思い、入社を決めました。
この仕事ならではのやりがいや魅力
自分の企画が、誰かの「歌いたい一曲」になる
自分で企画したものが、一冊の楽譜として形に残ることは単純に嬉しいです。さらに、その楽譜が実際に演奏されて、演奏者や作曲家の方に喜んでもらえたときは、「この仕事をやっていて良かったな」と感じます。 その中でも、特に手応えを感じたのが、自分で企画した「混声三部コレクション」というシリーズです。混声三部の合唱曲は、学校での需要や、混声四部が維持しにくい合唱団が増えてきたことにより必要とされている一方で、選べるレパートリーがまだ少なく、同じ曲が長く歌われ続けている状況がありました。そこで、もっと選択肢を増やしたいと考え、複数の作曲家に混声三部の新曲の制作や名曲の編曲を依頼し、さらに旧作も取り上げ、学生から大人まで歌えるシリーズを企画しました。合唱団に協力いただき演奏音源も制作し、YouTubeで発信しています。 出版後、実際に中学校や高校のコンクールなどで選曲されているのを見かけるようになり、「ちゃんと需要があったんだ」と実感しました。自分で「こんな楽譜があったら」と考えて企画したものが、実際に誰かの選択肢になって歌われていく。それは、この仕事ならではの面白さだと思います。
仕事をするうえで大切にしていること
自分がいなければ生まれなかったものをつくる
入社した頃、上司から「自分がいなかったらこの楽譜・この企画は生まれなかった、というものをつくりなさい。」と言われました。それ以来、自分が見たり聴いたりしてきた経験を、企画や選曲に生かすことを大切にしています。
もう一つ大切にしているのが、合唱界に楽譜を届け続けることです。コロナ禍で合唱活動が難しかった時期も、“いつかまた歌えるときのために種を蒔く”ような気持ちで、月にピース楽譜一点でも出版を続けました。その姿勢を合唱関係者の方から評価していただけたことは、今でも励みになっています。
今後の目標、取り組みたいこと
合唱の可能性を広げ続ける
どうあがいても自分は『合唱畑』の人間だと思っているので、これからも新しいレパートリーを生み出し、様々な作品を届けていきたいです。そのためにも、若い作曲家との出会いを大切にして、新しい才能や作品にも目を向けていきたいと思っています。
合唱を取り巻く環境も変わってきていて、少人数の合唱団やシニア世代などに向けた楽譜も、まだまだ増やしていけると思います。合唱の現場で聞こえてくること、感じることを企画につなげて、合唱の可能性を広げていきたいです。
オフタイムの過ごしかた
合唱は、もう生活の一部
プライベートでも合唱団に所属していて、練習や演奏会で歌っています。合唱は「好きで続けている」というより、もう生活の一部という感じです。練習後は、仲間と飲みに行くところまでがだいたいセット。立ち飲みや日本酒も好きで、気になるお店をチェックしています。
作曲家や指揮者と食事をすることもあり、そこでの何気ない会話から楽譜の企画が生まれることも。ほかにも好きなアーティストのライブや演奏会、映画、演劇などによく出かけます。純粋に楽しんでるつもりが、結局は仕事のネタになっていることも多いですね。