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 2021730(金)に日本センチュリー交響楽団がザ・シンフォニーホール(大阪)で千原英喜先生の作品を初演いたします。

 

新作「ピアノと7楽器のためのコンチェルティーノ ベートヴェニアーナ “明けない夜はない”」は2020年にベートーヴェン生誕250年のアニヴァーサリーに寄せて作曲されました。

 

3楽章から成り、編成はクラリネット、ファゴット、ホルン、ティンパニ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノです。

 

〜音楽は愛、光、夢と希望。世界よ、さらなる音楽のよろこびに溢れ、喝采に満ちよ、との思いを込め、ベートヴェン250アニバーサリーに寄せて作曲した。

 曲は、ベートーヴェン作品からのモチーフの引用/ヴァリアンテ(変奏)/デフォルメ(変形)等の音素材により、急緩急の楽章配列と古典形式の枠組みの中で、ピアノ協奏曲の趣をもって構成されている〜(千原英喜)



 つい先日気がついたことですが、DECCAの名盤のひとつ、エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団が1963年に録音したフランス音楽名曲集(ANSERMET CONCERTというタイトルでも発売されていた)に収められている20世紀を代表するフランスの作曲家による次の4曲のオーケストラ作品が、全音スコアA5判サイズの新しいスコアですべて揃うようになったことです。
 
ラヴェル《ボレロ》
ラヴェル《ラ・ヴァルス》
オネゲル《パシフィック231》
デュカス《魔法使いの弟子》
 
現在もDECCAの優秀な録音のオーディオ・ファイルとして取り上げられるアンセルメの名アルバムのひとつ、これまでに何度も新しいフォーマットで発売されていますが、この4つの作品のスコアが同じフォーマットで出版されていて、全て揃う出版社は全音スコアしかありません。
往年の名盤の鑑賞のお伴に、是非この4冊を揃えてはいかがでしょうか。
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ちなみにアンセルメは同じ4作品の組み合わせで、1954年にパリ音楽院管弦楽団と録音したアルバムもあります。こちらはモノラル録音ですが、むしろ溌剌として冴え渡り元気いっぱいの頃のアンセルメのバトンでこれらの名曲を楽しむことができます。こちらは現在、オーストラリア・エロクァンスのレーベルで発売された輸入盤CDで聴くことができます。(上手に探せばネットやYouTubeでも聴けます)


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フランスの作曲家モーリス・ラヴェルのオーケストラ曲の傑作《ラ・ヴァルス》は、ウィンナ・ワルツ(ウィーン風のワルツ)の賛美として作曲され、今も広く聴かれている代表作です。
 
スコアの前には次のような言葉が掲げられています。

「渦を巻く雲の切れ間から、ワルツを踊る男女たちがちらちらと垣間見える。雲が少しずつ散っていくと、旋回する人々であふれかえる大広間がはっきりと見えてくる。舞台はだんだん明るくなり、シャンデリアの光がフォルティッシモでまばゆいばかりに輝く。1855 年頃の、皇帝の宮廷。」(ラヴェルによるフランス語の説明からの抄訳)

 

この作品は、まず2台ピアノの形で1920年10月23日にウィーンでラヴェルとカゼッラ(イタリアの作曲家)の二人によって公開で演奏され、同じ年の12月12日、パリのサル・ガヴォー(ガヴォー・ホール)でコンセール・ラムルー管弦楽団によってオーケストラ初演されました。指揮はカミーユ・シュヴィヤール。
 
つまり今年2020年はその初演からちょうど100年目にあたります。
全音スコアはその2020年8月15日に、シリーズ初の《ラ・ヴァルス》のスコアを発売します。このスコアはオリジナル出版社のデュラン社のスコアを底本として制作してますが、演奏に使われているオーケストラ・パート譜、また比較的新しくヨーロッパで出版されたブライトコプフ・ウント・ヘルテル社の校訂されたスコアなどを資料として、照合・校閲しています。
 
「日本モーリス・ラヴェル友の会」がこの全音の新しいスコアを紹介して下さっています。
 
 
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全音スコア ラヴェル 〈ラ・ヴァルス〉
ISBN978-4-11-892473-1

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 
最近はスコット・ブラッドリーが音楽を作曲した「トムとジェリー」(もちろんアメリカのTVマンガ=カートゥーンのこと)を取り上げるなど、意欲的な内容で攻めているNHK Eテレ 「ららら♪クラシック」が、4月19日(金)の放送ではいよいよガーシュウィンのオーケストラの名曲「パリのアメリカ人」を取り上げます。
この放送を見て「パリのアメリカ人」の音楽の魅力に取り憑かれた人は、原曲のオーケストラの演奏にも迫れるようにアレンジされたピアノ連弾に挑戦してみてはいかがでしょう。
 
 
 
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ちなみに本書で解説を書いている谷口昭弘さんが、「ららら♪」でもビデオ出演して「パリのアメリカ人」について解説されるとのことです。
 
ところで、この編曲がどんな感じなのか気になる人は、全曲の演奏をYouTubeで聴くこができます。
またこの連弾アレンジは、原曲の全曲版(演奏時間 18分強)になっていますが、7分半程度までに短縮して演奏することもできるように楽譜上で配慮されています。
 
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終わり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


  スイスの作曲家でフランス六人組の一人として知られているアルテュール・オネゲルが1923年に作曲した「交響的運動第1番」《PACIFIC 231》のフルスコアを新たに校訂編集し、2019年1月の新刊として発売しました。
 これまでオリジナル出版社サラベール社のポケットスコアや、近年出版されたオイレンブルク社のポケットスコア(スコアはサラベールと同じ版)でお馴染みでしたが、可能な限りスコアを読む人が研究するときに迷いが起きないように、あらためて細部を見直して整理し、新しく制作したスコアです。
 またこの新しいスコアは、これまでのミニチュアスコア(ポケットスコア)のような、いわゆる楽譜制作ソフトのFinaleで言うところの「最適化」された、つまり演奏している楽器の五線のみがその場その場で印刷されている形のスコアではなく、常にフル編成で全ての楽器の状態を見ることが出来るスコアになっています。
 
Honegger 231_p41-sampl_.jpgのサムネール画像
 それによってオネゲルが「大コラール変奏曲」として作曲したこの《パシフィック231》の、主要主題や副主題などが対位法的な絡みを伴いながら変化していく様子や、テンポが次第に遅くなりがらリズムが細分化していくことで加速していく感覚を得ているこの作品独特の構造的な仕組みが、視覚的に把握しやすく読み解きやすくなっています。
 さらに遠山菜穂美氏の解説で、この曲のそうした構造や主題の変化がわかりやすく詳細に説明され、あわせてオネゲルの人とこの作品が書かれた背景や初演の記録、またその後の演奏や音楽史の上での作品の位置づけなど豊富な情報を読むことができます。
 
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