2016年4月新刊としてあらためてISR(International Standard Repertoires 国際標準レパートリー)シリーズで出版しました《ヴィエニャフスキー(ウィニアフスキー):ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調》は、これから本格的に上級レベルのヴァイオリンの勉強を始める人にはとても有効なコンチェルト作品です。
ところでこの曲の練習を始めた人は、うっ!! げろまじムズい!! と感じることがほとんどでは? しかしこの曲をある程度マスターできるかどうかが、この先ヴァイオリンをより上達できるかどうかの正念場となるのです・・・・・!
さてこのISRの〈ヴィエニャフスキー〉では、パート譜の巻末に編者の佐々木茂生先生によって練習のためのサジェスチョン(提言)が書かれています。
その中から2つ具体的に例をあげてみましょう。
①まずは第1楽章で独奏の弾き始めの部分から。
『 70小節
前の小節と少し気分を変えて、最初のF の音はていねいに弾く。たびたび現れる装飾音符は、3 連音符の頭の音に強烈なヴィブラートをかけて弾く。3 連音符は充分に歌い、続く8 分音符はリズム感をもってきちんと弾く。(この型はこれ以降も多数現れる)』
②次に同じ楽章の中間部分への推移部で技巧的なスピッカートや重音奏法が連続する激しい部分から。
『 129小節
スラーの3 つの音は、弓を弦に吸い付けて、使う弓の量はあまり多くなりすぎないように。以後の16分音符のパッセージは、左手の指の動きばかりに注意が集中しやすいが、ボーイングにも充分気を配り、総ての音が明確に出るように心がけて弾くこと。』
以上、この2つの例から、練習方法や演奏上の工夫のためのアドヴァイスが丁寧に説明されている楽譜であることを垣間見ていただけたと思います。