今日は「イタリア歌曲集」の魅力がさらに増すCDのご案内です。
このCDは、ナタリー・シュトゥッツマンさんとオルフェオ55の奏者達がオリジナルスコアから必要に応じて編纂を行い、可能な限り原形に近い形で、当時の奏法を再現する管弦楽伴奏で演奏収録されています。
【ナタリー・シュトゥッツマンさんのアルバムについてのインタビュー動画】
私たちが声楽を学ぶときに必ず手にする教材の一つ「イタリア歌曲集」は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、殊にA.パリゾッティの編曲になるものを中心に編集されています。
パリゾッティ版はロマン派趣味のピアノ伴奏で演奏効果を求める編曲になっているため、オリジナルの姿とは異なります。
私は、パリゾッティ版は耳馴染みしていますが、原作に近い演奏を聴く機会はこれまであまりありませんでした。今回CDを聴いて、「イタリア歌曲集」に収載されていた楽曲が、こんなにも優雅で美しかったとは…と、イメージしていた古典イタリア歌曲の響きを遥かに超えました。
全音の「イタリア歌曲集1」編者の畑中良輔先生は、「はじめに」の中で「これらの古典歌曲の持つ美しさを、本当に理解するには、相当長年の音楽修行が必要なのですが、古典の持つ“様式感”がわかりはじめてくると、これらの曲は実におもしろいのだと実感できるはずです。」と書いておられます。(この後に記載されている古典歌曲を歌うにあたっての記述もご一読いただきたいのですが、ここでは割愛させて頂きます。)
これからパリゾッティ版の楽譜を使い続けていくときに、楽譜や専門書、音源などから時代様式、奏法の知識を深めることで、より豊かな演奏を作り上げることにつながることと思います。
機会がありましたら、是非「私を燃え立たせる炎は 〜オリジナル楽譜によるイタリア歌曲集」を聴いてみてください。お薦めです!
2018年5月15日に紀尾井ホールでナタリー・シュトゥッツマンさんとオルフェオ55来日公演があります。
この機会に、生演奏で、オリジナル版のイタリア歌曲に触れてみては如何でしょうか。
☆来日公演詳細は下記サイトをご覧下さい。
http://www.hirasaoffice06.com/concerts/view/181