7月24日(日)に 大阪・住友生命いずみホールにて「ヴォーチェ・ディ・フィンテとその実践」の著者、当間修一先生の合唱団、大阪コレギウム・ムジクムの演奏会が行われます。
 
 〈現代(いま)の音楽〜Music of Oure Time〜〉シリーズVol.31 
 
F.プーランクによる親しい友人の死をきっかけに宗教音楽へ舵をきった初期の作品「悔悟節のための4つのモテット」を始めとして、自身の音楽が完成形へと近づいた時期でもあるヴィラ=ロボスのアカペラ作品「声のオーケストラのための バキアナ・ブラジレイラ 第9番」、ベートーヴェンの作品から着想を得た千原英喜の器楽作品「ピアノと7楽器のためのコンチェルティーノ ベートーヴェニアーナ“明けない夜はない” −version 2022−」(初演)、自身の作詩で人の営みと大自然への讃歌を歌い上げた山中千佳子の「混声合唱とピアノのための組曲 ことたまの祭祀」作品が演奏されます。 
 
フランス、ブラジル、ドイツ、そして日本へ世界を巡るプログラム、ぜひお楽しみください!


 ※演奏会情報についてはこちら。
当日には千原英喜先生と山中千佳子先生、それぞれ当間修一先生とのプレトークも予定しております。
 
◉当公演はライブ配信の実施を予定されております。
 
 
 
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〈演奏作品の紹介〉
 
 ◆F. プーランク (1899-1963)
 悔悟節のための4つのモテット FP 97(1938~1939年)
 
昨年の「人間の顔」に続けてお聴きいただくプーランクは、ヴィラ=ロボスのフランス滞在と時を同じくして活 躍した作曲家でもあります。
友人の死を契機として宗教的合唱曲を書き始め、ちょうど第二次大戦が始まろうとする前夜、今回演奏する「悔 悟節のための4つのモテット」は書かれました。
テキストは第1曲 Timor et tremor(作品としては4曲中最後に書かれました)は詩篇、ほかの3曲は聖木曜日・ 金曜日・土曜日の応唱(レスポンソリウム)より。イエスの受難、中でも弟子達による裏切りと悔恨、そしてイ エスの深い哀しみと愛を描いた4曲は、社会に蔓延る理不尽に抗する叫びや祈りであるかもしれません。フラン ス伝統の響きの上に、「修道士にして悪童」と呼ばれたプーランクの独自の境地とも言うべき劇的表現が聴き所 
です。
 
 
◆山中千佳子
 混声合唱とピアノのための組曲「ことたまの祭祀」(2017年)
 
3・11後、作曲者の心の中にずっと立ち上がり続けた「豊かさとは?」「ほんとうの幸いとは?」との問いが、 一つの答えとして「大自然への畏怖畏敬の思い、“生かされている”という根源の感性」に繋がり、自然や森羅万 象の中に大小様々な神様たちを見いだす感性をテーマに本作品は書かれました。
こと「たま」=言葉の一音一音、を繋げるようにと山中千佳子氏自ら紡いだ詞は、山・火・水・豊穣の四つの神 を壮大さ豊かさやをもって描きながら、世界の歴史と人間の有り様を省み、生けるものすべての幸いを願うメッ セージが込められています。
作曲家の願う「終曲後に皆で “さいわい” を分かち合えるような時間」を聴き手と演奏者で共に感じ合いたい作品 です。
 
 
◆H. ヴィラ=ロボス (1887-1959)
 声のオーケストラのための
 バキアナ・ブラジレイラ(「ブラジル風バッハ」)第9番(1945年)
 
20世紀ブラジルを代表する作曲家ヴィラ=ロボスは若くしてブラジル奥地に入って民謡の収集を行い、3度のパ リ滞在を経てブラジル音楽アカデミーを創設、祖国の音楽文化・音楽教育の発展に尽くしました。日本ではギ ター作品などのファンも多く、近年CDの刊行も進んで注目が高まっています。
1000曲を越える作品の中でも代表作「ブラジル風バッハ」全9曲は、敬愛するバッハの音楽をブラジル音楽と融 合させようと意図したものです。第9番には合唱版と弦楽合奏版がありますが、演奏機会が極めて限られている合唱版は作曲家自ら「声のオーケストラ」と記しているように、“La!”“Lo!”“Nan!”など様々な種類のヴォカリー ズを楽器の音色ように駆使して厚い響きを実現しています。「バッハ風」の構成の中には熱いリズムが流れ、ブラジルの風の匂いを感じさせてくれるようです。わずか10数分の中に音楽の面白さが凝縮された必聴の作品です。
 
 
◆千原英喜
 ピアノと7楽器のためのコンチェルティーノ
 ベートヴェニアーナ “明けない夜はない”―version 2022― 初演
 
――音楽は愛、光、夢と希望。世界よ、さらなる音楽のよろこびに溢れ、喝采に満ちよ、との思いを込め、ベートーヴェン250アニバーサリーに寄せて作曲した。曲は、ベートーヴェン作品からのモチーフの引用/ヴァリアンテ(変奏)/デフォルメ(変形)等の音素材により、急緩急の楽章配列と古典形式の枠組みの中で、ピアノ協奏曲の趣をもって構成されている――(千原英喜)
当間修一/大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団とともにCD「千原英喜作品全集」を創り上げてきた木下亜子(ピアノ)と、当間修一の音楽語法を阿吽の呼吸で紡ぐシンフォニア・コレギウムOSAKAが贈る珠玉の“ベートヴェニアーナ”。曲の終わりには今回の演奏のために“version 2022”として新たに書き加えられた合唱が加わります。
ベートーヴェンファンはもとより初めてお聴きになる方にとっても、楽聖へのオマージュによって現代に生まれた音楽の愉しみに身を委ねていただけることと思います。
 
 
 
 
 
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